「四十不惑」いいえ、自分は「四十惑」です

「四十不惑」 意味:四十歳で人生に迷わなくなること。 孔子は四十歳になったとき、自らの学問に対して自信を固め、道理も明らかになり、人生の問題に迷うことがなくなったという。むぅぅ・・・。 自分は、四十歳になった頃から人生の問題に迷い続けているだ…

何故か悲しくなる向日葵の風景

辺り一面ずっと遠くまで咲く向日葵。 そして、一台の廃車がその風景の中にひっそりと佇んでいる。何でだろ・・・もう、ずっと、ずっと、涙が止まらない。今更ですが「星守る犬」読みました。星守る犬作者: 村上たかし出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2009/07…

日本で一番レスキューが似合う俳優は

東京に住んでいた頃、どうしてもイルカと戯れたくて伊東に行った事がある。3月初旬の伊東の海水は14℃だった。 海から上がった後、引き寄せられるようにフラフラと近くの銭湯に入ってしまったくらい、早春の伊豆の海が冷たかった事をぼんやりと思い出しな…

嬉しいけど、でも、悲しい事。

フと気付けば、茹だるような暑さが続いた夏が去って。 そして。 フと空を見上げれば、空は秋の空をしていた。もう、秋かぁ・・・。毎年この時期になると友人Sから届いていた個展の案内ハガキ。 私が東京に住んでいた頃も、Sは毎年欠かさずハガキを送ってくれ…

それは、ちょっとコワイような「月」つながり

ここ二ヶ月程の間、全くと言って良い程音楽を聴かなかったんだけれども、一昨日の夜、フと無性に柴咲コウ(RUI)の「月のしずく」が聴きたくなる。月のしずくアーティスト: RUI,Satomi,前田たかひろ,松本良喜出版社/メーカー: ユニバーサルJ発売日: 2003/01/…

送られる事の無かった手紙

私の手許に送られる事の無かった一通の手紙がある。 送る事が出来なくなってしまったその手紙は、友人Sが旅立つほんの数日前にS宛に書いたものだった。手紙を投函する前にSが旅立ってしまったのだ。この一月余り、私はその手紙が入れられた封筒を敢えて手に…

切ない味の坦坦麺

それは私がまだ東京に住んでいた頃の事だった。 昼時の五反田。「時間も無いし、取り敢えずココでいいや」と入った坦坦麺の店でその歌は流れていた。猛烈に歌謡曲調の旋律。どことなく悲しげな内容の歌詞。それは、どうにも70年代の歌謡曲。坦坦麺の店で何…

明け方に見た夢

それは、おそらく明け方だったのだろうと思う。友人Sの夢を見た。 会議のような風景。手振りを加えて笑顔で話すS。話し終えてSが目を瞑った瞬間、Sの顔が棺の中の顔に変わったところでガッ!と目が覚めた。部屋には鈍く弱い光が射していた。友人Sが旅立って…

枯れ果てているとしても

無職となった私の一日は、何ともシンプルなものになった。睡眠。食事。考え事。ぼーっとする。お経を聞く。時々般若心経を写経。はてなに日記を書く。 な、何か・・・枯れ果ててると言えなくも無いような・・・(汗)今は真剣に仕事を探していない。 自分は…

「生き方」「逝き方」そして、問いの答え

これ迄の人生で友人を亡くした経験が無かった私にとって、友人Sの死は余りにもショックが大き過ぎる出来事だった。去年の秋スープカレーの大盛り食べてたSが、冬には入院、闘病生活。そして、春にこの世の何処にもいなくなってしまうなんて・・・。ガンが判…

その人と縁のある文字

御歳92歳になる母方の祖母の家の仏壇には、戒名の一部が赤字で書かれた位牌が収められている。赤字で書かれているのは祖母の戒名。戒名は生前に授かる事も出来る。位牌の赤字は、故人ではない事を表している。お墓参りに行った時に、墓碑などが赤字だった…

壊れてます。ええ、壊れてますとも〜!

寺院で働いていた一年の間には、何気に色々な出来事があった。昨年の冬、以前長く勤務していた会社が今年3月で廃業する事を知る。 退社する時、自分としては”持って3年”と予想していたので別段驚きはしなかったし、昨年の春に大々的なリストラをした事も聞…

地獄の沙汰も・・・

寺院での仕事は全般的にまったりしたものだったけれども、仕事内容はと言うと、結構シビアなものが多かった。葬儀、法要、月参り、納骨、各種供養、等々・・・どれも皆、基本的にはお金(お布施)抜きでは語れないものばかり。全ての寺院がそうなのかは判り…

はてな空白の一年間に

はてな空白の一年間。 何をしておりましたかと言うと、寺院で働いておりました。 出家して尼僧さんに成った、とか修行していた、とかでは無く普通〜に寺院の職員として。元々寺院を訪ねたり、宿坊に泊まったりする事が好きだった故、採用が決まった時は「こ…

それが悲しみの刹那だとしても

ここに友人Sの旅立ちを見送った自分の気持ちを書き始めて、フと気が付けば5月が終わり6月になっていた。陰鬱とした梅雨空のように、ひたひたと泣きながらも気持ちを文字に、言葉にする事によって、感情が整理整頓されて行くのが解る反面、悲しい気持ちが癒…

永遠に生き続けるもの

丁度二週間前。友人Sのお通夜にて。 祭壇の横には、Sの作品の写真とメッセージが持ち帰り用として置かれていた。 この写真が、Sが北欧で製作した最後の作品になってしまったのか・・・。と思うと悲しみが深まる。友人Sは数年来、毎年冬になると北欧で作品を…

大切な何かが指の隙間からこぼれ落ちた日

その人が、少しずつ、少しずつ、その人では無くなって行く。 その人の姿、かたちはそこに在るんだけれども、その人の意識がそこから離れて行くような感じ、とでも言うのか。その「感じ」を感じ取ってしまった時、人は途方も無い悲しみと絶望感に襲われる。「…

悟り、無、在るがまま。それは説明のつかない何か。

「仕事断った・・・うん・・・全部、断った・・・」と呟いた友人Sの声は、果てしない哀しみを孕んだような声に感じた。 無言で頷きながら私は言う「今は体調回復に専念して、体調が良くなったらまた(仕事を)するといいよ」と。この時、Sは三種類目の抗がん…

それは、きっと笑顔だった。

「お互いに歳とって、おじいちゃん、おばあちゃんになったら、その時は縁側でのんびりお茶でも飲もう」と言う友人Mと私に向かって、「アハハ!何だよーそれ」と口を思いっきり開けて屈託の無い笑顔で答える友人S。思えば、Sは何時だって笑顔の人だった。 Sは…

どこか空よりももっと遠いところ

「今日は外が白いんだね」と言って窓の外に視線を移すS。 「朝から雪が降ったり止んだりしてるんだよ。もう、すっかり春の筈なのにね」と白い理由を答える私。「そっか」と言って再び窓の外を見るSの瞳は、どこか空よりも、もっと遠いところを見ているようで…

そこにいてくれるだけで。

「だって、ハズ言ったじゃん!コレがあればいいから、って!!!言ったじゃん!!!」 大学病院のスタバで、Sは強い口調でそう言うとアドレス部分をビリビリと千切って「ほらっ!」と言って私に差し出した。「ごめん・・・私の言い方が良くなかったよね・・…

友情、愛情を意味するサンスクリット語の音写

昨日は友人Sの初七日だった。 Sが永眠して今日で一週間。時が几帳面に時間を刻む分だけ、思い出や悲しい記憶もまた刻まれて行く。Sとの最期のお別れの時。 たくさんの花が供えられたSの棺を参列者が見守る中、とうとうその時はやって来た。棺に蓋が被せられ…

大きな蜘蛛の巣をぼーっと一人で見ていた日。

私が子供だった頃、父が「今日はおばあちゃんに会いに行こう」と言って向かう先が、どう言うワケか父の実家ではない事が子供心に不思議でならなかった。祖母に会うのは、いつだって病院の寒々しい病室で、祖母が私達を出迎えるのは決まってベッドの上だった…

遺影に向かって心の中で呟いた言葉

今日の夕刻、友人が自宅に大きな封筒を届けてくれた。友人は「折り曲げたくないので・・・」と、わざわざ母に手渡してくれたらしい。友人が届けてくれたのは、数年前の新聞に掲載されたSのインタビュー記事だった。無邪気な悪戯っ子みたいな笑顔のSの写真を…

そして、涙は凍りついた心と身体を一気に溶かした。

棺に静かに横たわる友人Sの顔を見た瞬間、変わり果てた姿に心と身体が凍りつく。そして次の瞬間、怒涛の如く溢れ出す涙が凍りついた心と身体を一気に溶かした。「(彫刻家として、だと思う)未だやりたい事があるんだ。だから、あとせめて5年は生きたかった…

残酷な夜明け、旅立ちの朝。

午前4時。旭川駅前のホテルの部屋で、私は夜が明けて行く様をぼんやりと見ていた。どんな夜にも必ず朝はやって来る。明けない夜はない。 でも、こんな気持ちで迎える朝は、その静寂も何もかもが残酷に思えて仕方ない。前日の夕刻。私と友人Mは旭川駅に降り…

オリエンタルホテル(東方旅館)の女客〜其のニ〜

扉の模様の付いた硝子をオレンジ色の灯りが染めている。 昔何処かで見たような懐かしい色。扉の向こうには懐かしい光景が広がっていて・・・いや、それとも全く”別の次元”が広がっていたりして・・・。なーんてね。「世にも奇妙な物語」じゃないんだから(笑…

一年前、思いっきり見た夜の街

ほんの一瞬、呼吸が出来ないくらいに猛烈な勢いで、まるで、それは意思でも持っているんじゃないか、と思えるくらいに轟々と吹く風。丁度一年前の今日。 友人と私は猛烈なビル風ってやつに煽られながら六本木の街を歩いていた。もうすぐ東京を去る私に、友人…

オリエンタルホテル(東方旅館)の女客〜其の一〜

「なんか、ココって蛇頭の連絡所って感じじゃない!?」 「なんか、香港黒社会とか福建マフィアとかさ!!」十年位前になるんだろうか? 横浜中華街の一角で”うらぶれた風味”とでも言うか、何とも独自なアヤシイ雰囲気が漂う建物を見掛け「目くるめく妄想の…

半年前の風の匂いの記憶

約半年ほど前の春の日。 私は、がらんとなった部屋で一人ぼんやりと春の風の匂いをかいでいた。殺風景な部屋とは裏腹に、流れ込む風はふんわりと暖かく、穏やかで、そして優しい。だからなのか、一瞬何とも言えない切なさが込み上げて来たのを憶えている。あ…