嬉しいけど、でも、悲しい事。

MALENA2010-09-30

フと気付けば、茹だるような暑さが続いた夏が去って。
そして。
フと空を見上げれば、空は秋の空をしていた。

もう、秋かぁ・・・。

毎年この時期になると友人Sから届いていた個展の案内ハガキ。
私が東京に住んでいた頃も、Sは毎年欠かさずハガキを送ってくれたっけ。

先週末、帰宅すると一通のハガキが届いていた。
見覚えのある作品を目にした瞬間、どっと涙が溢れる。
そのハガキは、Sの「遺作展」の案内ハガキだった。

「遺作展」か・・・。

宛名の文字が、Sの”ちょっぴり走り書き風の右上がりの字”じゃない事に、改めて現実を突きつけられたようで、どうしても、やっぱり悲しかった。

遺作展では、病室で描いていた作品も展示されるらしい。
嗚呼・・・あの時ペンで描いていた絵か。思えば、もう既にあの時Sの手は余り力が入らないような感じだったな・・・。

Sの作品に逢える事は嬉しいけれども、でも、やっぱり悲しくなってしまうんだな・・・。

夏の始まりの頃も、茹だるように暑い真夏の頃も、そして、空が遠くに見える秋になっても、私は自分が何処に立っているのか、ずっと分からないでいる。
何と言うか、現実の中で果てしなく、ずっと、遭難し続けているような感じ。

いや、思えば。
自分は、もう、ずっと前から現実の中で遭難しているような気がする・・・。

札幌に戻って来る前迄は、何が起ころうとも「あ、でも、自分、生きてるさ!」って思って、身体中の血液が轟々と音を立てて巡っていたり、魂のマグマが発作的に大爆発するようなタイプだったんだけど、今の自分はもう「ぶっ壊れたポンコツ」って感じだわ・・・。

魂のマグマが出尽くして、死火山になっちゃったのかもね・・・。

おそらく、思うように動かす事の出来なくなってしまったであろう手で、それでも最期迄作品を描き続けた友人Sを思うと、自分は何やってるんだろ・・・って思わず泣けて来た。