今度乗る時は、風の音に耳を傾けよう。

MALENA2005-03-06

桟橋に立つ私の頬を、冷たい風が少しだけ不機嫌そうな音をたてて翳めて行く。その風は、微かに潮の香りがした。
陽も傾きかけた午後、私は日の出桟橋にいた。そう、水上バスに乗るために。

思い切り、冬でもない、かと言って春でもない風を受けて、その音に耳を傾けよう!と思い勇んで水上バスの後部座席に足を運んだものの・・・この季節は後部座席のガラスが閉じられているんですね・・・。まぁ、ガラス全開なら寒いだろうし・・・。と、言うワケで、天井がガラス張りになった二階席に。窓からちょっと不機嫌そうな淡い灰色をした空を見上げる。ゆっくりと船は桟橋を後にする。

速過ぎず、かと言って遅くもないスピードはやはり心地いい。
地上にいると、つい見過ごしてしまうような風景がしっかりと私の目に焼き付けられる。地面から足を離してみると、いろいろなものが見えて来る。それは決して景色だけじゃない。

突っ走ってばかりいると、まわりが目に入らなくなり、時として大切な「道標」さえも見過ごしてしまう。見過ごした事を鈍く認識しながらも走る事を止めないと、突然息切れを起こし道のド真ん中に倒れ込む。そんな時は無理に起き上がらずに、十分な回復を待ってから起き上がってもいいんだって事を、私は最近になって知ったような気がする(苦笑)だからこそ、時には地面から足を離して、水上バスくらいのスピードで何かを見る事は私にとっては大切な事。

決して生きる事を急いでいるワケじゃないけれども、これ迄の人生突っ走ってばかりいたので(笑)この先もきっと私は走ってしまうんだろうな、とは思う。けれども、時として走る事が苦しいと感じる事があれば、水上バスに乗ろう。大切な道標を見失わないように、ね。