センスがいいと言う事に古と今の別はない。

その人物の存在を初めて知ったのは、タイトルは忘れてしまったが、確か子供の頃に見たNHK大河ドラマだったかと記憶している。

頭には黒い頭巾を被り、黒い衣装に身を包んだ初老の男性。お坊さんかと思いきやそうではないらしい。その初老の男性は、幾分狭ささえ感じさせる和室の一角で湯を沸かし、茶碗に湯を注ぎシャカシャカと何やら泡立ている。殺風景な薄暗い空間には掛け軸と一輪挿しに挿された花。子供だった私はフと思う「何だかよくわかんないんだけど、いいなぁ・・・」と。

先週末、古本屋で目にして手にしたにもかかわらず、何故か買わずに帰ってしまった漫画の本がどうしても気になり週末買いに行く。

千利休

千利休

今更漫画で千利休も如何なものかと思わなくもないが・・・(笑)読むのが楽しみだ。

正直なところ、私は茶道の心得は無いに等しい(高校時代、必修クラブで一年間齧っただけ。正座が辛かった記憶が・・・笑)ので、お恥ずかしながら千利休についても殆どと言っていい程知らないと言っていい。辛うじて知っている事と言えば、茶の道を極めた人だと言う事と、「大黒」と言う茶碗(茶道の心得が無くても、この茶碗の”美しさ”は鳥肌モノです)と、秀吉によって切腹させられたと言う事くらいか(汗)

その程度の知識しか持ち合わせていない(恥)私であるにもかかわらず、何故千利休が気になってしまうのかと言うと、この千利休と言う人は「もの凄くセンスのいい人」だと思わずにはいられないからなのだ。

「大黒」に代表されるように、黒と言う色を好み、一見何の変哲も無さそうな茶碗や茶器(茶匙が好き。特にカーブの部分。匙加減とはこのカーブ部分の加減の事も指したりすのだろうか?)や花挿しや掛け軸や、茶をいただくのに必要なモノ以外は一切と言っていい程無い茶室と言う空間。思わず「むうぅ・・・」と唸ってしまう程、静かな美しさを讃えていると思えてならないそれらのもの。嗚呼!とにもかくにも、センスがいい!千利休の審美眼!!!古の人のそのセンスは、数百年の時を経た現在でも決して色褪せる事はない。

それ故に、「大黒」を単に地味なだけの茶碗と酷評し、金ピカの茶碗と茶室を好んだ秀吉が私はどうにも好きになれなかったりする。「このオッサンただの成金っ!天下は取ったかも知れないけどさ、とにかくセンス悪すぎだわ!」と(笑)

ホトトギス、鳴かないなら「殺してしまえ」の信長。「鳴かせてみせよう」の秀吉。「鳴くまで待とう」の家康。この中で誰が一番好きかと訊かれれば、私はやっぱり信長と答えてしまう、「殺してしまえ」の。齢四十九、燃え盛る炎の中で生涯を閉じた。何かこう、血が真っ赤と言うか、血が濃い(決してドロドロ血と言う意味ではありません、笑)と言うか。「鳴かせてみせよう」の人は楽しくていいかも知れないし、「鳴くまで待とう」の人は温厚そうでいいかも知れないけど、どちらも腹の底には何となくドロリとしたモノを持っていそうな気がしないでもない。裏表が激しいとでも言うか。「殺してしまえ」の人は裏表が無さそうとでも言うか。私的には「殺してしまえ」の人に「いい加減にしなさいよ!」と平手張るのもいいなぁ、と。・・・あ、単なるコワイ女ですね・・・私・・・(苦笑)