灰色の空を見上げながら、私はちょっぴり悔やんだ

MALENA2006-05-16

東京を発って約三時間。日本トランスオーシャン航空73便は徐々に高度を下げ始めたようだ。窓の外には不機嫌そうな灰色の空と、ほんの少し遠くに広がる本当に青い海と、所々濃い緑色をした陸地。石垣島だ。

ゆっくりと滑走路を進む機内から垣間見る風景は、木々や植物、果ては空気感に不思議なくらい懐かしいような感じを憶える。それらは、どこかタイやカンボジアの風景とちょっとばかり見紛うほど良く似ている。日本の南で思い出す、東南アジアの風景。此処もアジアの一角なんだ、と思う。

相変わらず不機嫌そうな灰色の空の下、飛行機を降りて頬に受けたちょっぴり湿度を帯びた風は、ほわんと生温かくて、穏やかで優しくて何故か懐かしいような不思議な匂いがした。

沖縄本島よりも、台湾に近い石垣島
その空気感は、これ迄訪れた事がある日本のどの場所でも感じた事のない空気感だった。ちょっぴり湿気を孕んだ、生温かくて何となく好きな空気感。歩く速度が、自然とゆっくりとなるような空気感。

ちょっぴり不機嫌そうな灰色の空を見上げながら、二泊三日のパッケージツアーでこの地に降り立った事をぼんやりと悔やんでみた。