「ボニンブルー」の海を見ながら
父島で初めて迎える朝は、それは静かにやって来た。
微かに聴こえて来るのは心地良い鳥の囀り。
むぅ、何時もの朝と何か違うような・・・。あ!そうか・・・カラスの鳴き声もスズメの鳴き声も聴こえない。そう、小笠原諸島にはカラスもスズメも存在しないのだ、一羽たりとも!!
小笠原諸島は「海洋島」と言う一度も大陸と繋がったり離れたりした事のない島なんだそうで、そのような環境から固有の動植物が多数生息しており「東洋のガラパゴス」と称されているんだそうだ。
そんな小笠原諸島の陸地で命を育み繋げる事が出来たのは、流れ着いた種が実を結ぶ事が出来た植物や、その翼で辿り着く事が出来た鳥たちなど。(ヤギなど人が持ち込んだ動物は別)カラスもスズメも小笠原までは飛んで来る事が出来なかったし、ヘビも海を泳いで来る事が出来なかったので小笠原には存在しないんだそうだ。
独自の生態系が存在する小笠原諸島。そんな小笠原の島々を囲む海にはクジラやイルカやウミガメなどの動物やたくさんの魚たちが命を育んでいる。小笠原の海は、その”青さ”が「ボニンブルー」と呼ばれているんだそうで、ボニンとは「無人」の発音が「ムニン」→「ボニン」と変化したものなんだそうだ。
滞在中は、空がスカっと青い時は殆どなく(涙目)曇り空が多かった事もあり、海は群青色をしている事の方が多かったが、フと気紛れに太陽が顔を出した時は、海はボニンブルーの顔を見せてくれた。
もう、絵の具の色でも、言葉でも、身振りでも、文字でも表現出来ない青色。綺麗とか、美しいとかじゃなくて、ただひたすら神秘的な青色。自分が生まれるずっと、ずっと、ずっと前から、小笠原の島々はこの青色をした海に囲まれていたんだ、と思うと心臓がきゅんとなった。
地球って凄いな・・・。
気紛れに顔を出した太陽を背に、私は心の中でそう呟いていた。
〜行きのおが丸で予習〜
- 作者: 有川美紀子,宇津孝
- 出版社/メーカー: 山と溪谷社
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