たとえその言語が「一言」たりとも解せないとしても

MALENA2004-05-23

「何かお困りですか?」
ロビーを歩き廻る私を見て、彼は流暢な英語でそう問い掛けて来た。
流石「五ツ星」ホテルだ。程好くフレンドリーな笑顔も忘れてはいない。
宿泊客に対するサービスは徹底されている。

実際のところ、ウロウロしていたのだが「ウロついています」とは言えず
「そこのショップを見に・・・でも、ロビーが綺麗だったので」と(笑)
彼は「では、心ゆく迄ご覧下さい」”みたいな”事を言って去って行った。

デリーもアグラもジャイプールも、ホテルは全て街の中心からは「隔離」され
た場所にあった。喧騒と混沌から「隔離」された場所に・・・
街中のホテルなら、間違いなく散策(と言うか探索)に出掛けるのだが、車で
も繁華街迄は2〜30分はかかると言う事実が、私の中でボーボーと音を立てて
燃えていた「探索心」を、いとも簡単に鎮火させてしまったのだ。
加えて、解する事の出来るヒンディー語が「ナマステ」だけでは、薄暗い夜道
を一人でリクシャーに揺られる事は、正直言って気が乗らなかった(笑)

さてと・・・インドの夜を、どう「楽しんでやろう」か(笑)
そうか!一番身近なエンターティメント「テレビ」があるじゃないか!

チャンネルを回すと、意外と言っては何だが思っていたよりも様々なジャンル
の番組が放送されていた事に驚かされた。
報道は勿論、ドラマ、映画、音楽番組、トークバラエティ、ドキュメンタリー
に子供悩み相談室風のもの迄多種多様。

この中で、私が特に気に入って見ていたのが、ドラマと映画と「MTV INDIA」
ドラマは、ホームコメディや学園モノやサスペンス。映画は、歌あり踊りあり
が「お約束」のインド映画(インド映画は面白い)「MTV INDIA」は、今、最も
インドで流行っている音楽が聴けて、正直ハマる(笑)インド映画風や、ちょっとSEXY!?風のプロモーションビデオも見れてなかなか面白い(笑)

CMは、今その国で何が売れている(需要が高い)のか?又は国民の関心の高い
ものは何か?を一目で知る事が出来ると言う意味では、なかなか「見所」があ
るものだと思う。

良く目にしたCMは、シャンプー、ペプシ(インドではペプシが優勢らしい)
鍋、お菓子、携帯電話、日焼け止め(美白?)そして「選挙」等々。

シャンプーのCMは日本同様「黒髪美人」ペプシは今インドで一番人気の俳優
(顔は分かるが名前が・・・)そして、意外と言っては少々失礼かとは思うが
「カメラ付き携帯」のCMが頻繁に流れていた(SAMSUNG製)

インドでは、携帯電話はまだまだ一般人には普及していないらしい。
(日本のように、街中で携帯で話をしている人はあまり見かけない)
携帯一台の購入金額が、日本円にして4〜5万円。カメラ付きとなると、何と
9〜10万円前後になるらしい。
インドの一般的な物価を考えると、これは非常に高価な物である事に違いない。従って、携帯を所有している人は、ある程度裕福な人達なのだ。

たとえ「ナマステ」以外の言語が、一言たりとも解する事が出来なくても
私は、こうして「一番身近なエンターティメント」を十分に楽しむ事が出来
た。それが、たとえ報道番組やドキュメンタリーであっても言語が解らない
事は、何故か「何一つ」気にならなかった。

テレビを消して、ふと思った。
「そうだ!インドのCDと雑誌を買って帰ろう!」と(笑)