歌舞伎町24時

東京での仕事を終えた日の夕方、私は職安通りを歩いていた。歌舞伎町にある宿泊先のホテルに向かう為に。歌舞伎町に泊まるのは久し振りだ。

歌舞伎町と言う街も、私の目には「混沌と喧騒に満ちた」街に映る。私的にはどことなく「不思議」な人々に出くわす確率が高い街に思えてならない。

過去、こんな人々に遭遇してしまっている。
区役所通りの歩道で、私の直ぐ目の前でボコボコに殴り合いの喧嘩をしている「いかにも」そのスジのお兄さん。台湾料理屋で私の斜め向かいの席で、食事そっちのけで携帯に向かって大声で怒鳴りまくる(中国語が単に怒鳴って聞こえただけかも知れないが)福建マフィアと思しきおじさん。酔っ払いのイザコザの果てなのか「ブッコロス!」と言いながら相手に向かってバタフライナイフをちらつかせる一見普通の人。想像していた程「おどろおどろ」しくは無かったゴールデン街。飛び交うアジアの言葉。すれ違う様々な国の人々。
「何か”濃ゆ過ぎ”歌舞伎町」

ホテルが職安通りに近かった事もあり、私は職安通り沿いにある韓国料理屋で夕食をとった。コチュジャンを「どっさり」入れてスンデクッパを食べる。付け合せのペチュ(白菜)キムチが美味しい。食事を終えると、韓国製の化粧品を専門に扱うお店でリキッドアイライナーを購入(リキッドアイライナーは韓国製に限る!)日本円で三千円はやや高いが・・・その後、韓国広場(韓国の食材等を扱うスーパー)でテチュ(なつめ)茶やメシル(梅)ジュース、お菓子等を買う。それはそれは美味しいそうにスライスされたチョクパル(豚足)がパックされて売られていたが、余りにも1パック当たりの量が多い為購入断念。

新大久保から職安通りの一帯は「コリアタウン」とも呼ばれているそうだ。確かに韓国料理屋や食材を扱う店や本屋等が多く見られる。ハングル表記の看板も目に付く。韓国人も多い。ハングルがあちこちで飛び交っている。何だかソウルにいるような錯覚さえ憶えてしまう始末だ(笑)

ホテルは歌舞伎町の外れにあるせいなのか、何だか「コワイ」位の静けさだった。静まり返った部屋でテチュ茶を飲み、オリオンのチョコパイを一口かじってふと思う「そう言えばソウルには一年ちょっと行って無かったんだな・・・」そう思うと急に、うるさい位(笑)にK-POPが流れるミョンドン(明洞)の街や、ロッテデパートの地下の「王室のり」や、インサドン(仁寺洞)の伝統茶院でいただくスジョンガや韓国菓子が無性に恋しく感じられてならなかった。そして思う「秋のソウルも見てみたい」と。

ホテルの部屋が、まるで嘘みたいに静かだった事もあり、私の瞼は急激に重くなってしまったようだった。こんな時は成り行きに任せて逆らわないのが一番だ。歌舞伎町24時。私は既に深い眠りに就いていたようだ(笑)