夏日三日目。今日は映画館へ。

MALENA2004-07-19

三日連続で夏らしい日となった昼下がりの繁華街を、私は足早に歩いていた。繁華街からは少しばかり「ズレた」ところにあるミニシアターに向かう為に。

二週間程前から気になっていた映画があった。「列車に乗った男」と言う映画。以前そのミニシアターに行った時に目にしたチラシが「何となく」気になっていたのだ。本日二回目の上映。客席の三分の二は埋まっているみたいだ。

列車に乗った男が、寂れた田舎町に降り立つ。頭痛薬を買う為に立ち寄った薬局で彼は一人の老人と出会う。話し好きで、とりわけ過去を話したがる老人。無口で過去を話さない男。最初は会話さえ成り立たなかった二人の間に、互いへの友情とも憧れとも取れる感情が芽生える。そして、二人にとっての「運命の日」である土曜日。物語のラスト5分は深く、そして静かに観る者に「何か」を問い掛ける。

私自身、お恥ずかしながら「パトリス・ルコント」監督作品を観るのは実は初めてだ(笑)観終わってから気になって調べてみたら「髪結いの亭主」や「歓楽通り」を手掛けた監督だったと改めて知る事に。「歓楽通り」は予告編を見て興味があったものの見逃してしまっていた映画だった。機会があれば「歓楽通り」も観てみよう。この映画のチラシに書かれてあるフレーズが二つ。「その列車は、あなたを、叶わなかった人生の終着駅へと旅立たせてくれる。」「教授と流れ者━神から与えられた運命の乗車券を交換したふたりの男の、輝かしき終焉の刻。」誰しも一度や二度思った事はないだろうか?自分には現在(いま)の人生とは全く違った人生もあったのではないか?と言う事を。己の「人生のレール」方向は、もしかすると既にある程度決まっているのかも知れない。その方向は思い立ったからと言って簡単に変えられるものでもないのかも知れない。そんな「思い立った」感情が湧く時、私は思う。自分の人生を時々省みたり振り返ってみる事はいい。でも無意味に焦ったり、無意味に後悔するのだけはやめよう。後悔の念に駆られてどうしようもない事があったとしても、時間を戻す事は「絶対に」出来ない。そんな時は落ち込んだり、焦ったりせずに一度列車を降りてみよう。次の「行き先」がぼんやりとでも見えて来たら、また列車に乗ればいい。行き先の変更と列車の乗り換えは、自分の気持ちの赴くままにすればいい。いつ何時だって。

列車に乗った男」では、時折フランス語の「詩」が登場する。
私自身は、フランス語を全く解さないが「詩」として発音されるフランス語の響きが何とも美しい旋律のようにさえ聴こえるのは何故だろう?通常であれば、フランス語の響きを「美しい」と思って耳にした事はないのだが・・・(笑)確かHの音を発音しない筈だったか?日本語の「は行」を。そう言えば韓国語もHの発音が弱かった筈だ。余り関係無いが(笑)

映画を観終え、ミニシアターに置かれてある次回公開作品の中で、興味がある作品のチラシを手に取る。浅野忠信の「地球で最後のふたり」「永遠のモータウン」これは予告編を見ただけでガツン!と来た(笑)私の好きな曲が短い予告編中に何曲も!他にも、私はブリティッシュ・ロックやブリットポップには全く詳しくないのだが「LIVE FOREVER」も面白そうだ。最後に何だか気になってチラシを手にしたのは「盲獣VS一寸法師」オドロオドロシイ感じが何とも・・・。これだけ多岐に渡るジャンルの作品が上映されるこのミニシアター。私的には「どうにも」愛してやまないようだ(笑)