筋金入りバックパッカーの依頼。

会社の後輩が言う。今日はバックパッカー君と「飲み会」だと。私は思い付く。私もその飲み会に参加して直接チベットの依頼を聞いた方が早いのではないかと。その旨を後輩に言うとアッサリとOKとの事。こうして、どこか「不思議」な感じさえする3人の宴は開催されたのだった。

待ち合わせ場所に既に到着していたバックパッカー君は「ゲバラ」の顔がプリントされたTシャツを着た「気のいい兄ちゃん」と言った感じの人だった。今迄訪れた国はインド、ネパール、パキスタンラオス、タイ、その他東南アジア諸国に南米の国々。特に南米を愛して止まないらしい。次は何処に行く?との私の問い掛けに対して「ボリビア!」だと言う、3回目の。アジア好きな私は、南米や南米音楽には余り興味が無いので少々申し訳ない気もしたが、それでも旅の話を聞くのは楽しい。彼の場合は、行き先を決めずに気の向くままにバスや列車に乗り、気の向くままに降りる。時には徒歩で国境を越える事も。そして、そこの生活の中に入って行くのが旅のスタイルなんだそうだ。「羨ましい」と思うと同時に、そんな旅が「したくてもきっと出来ない」途方もなくちっぽけな自分が、情けなくそして恨めしくさえ思えてならない。

そんなバックパッカー君の依頼は、彼本人の依頼では無くて、彼の友人の依頼なんだそうだ。何でもその友人は精神世界的なグッズ好きで、チベットの「タンカ」と言う仏教画が描かれた掛け軸を買って来て欲しいとの事。ただし、このタンカと言うシロモノ結構「目利き」がないと購入するのが難しいらしいのだ。正直言うと、私にそんな目利きは無い。しかも価格は$100〜$200って結構「お高い」じゃん!(笑)「うん、買えなかったら全然いいから」と言ってくれたのがせめてもの救いか(笑)

後輩がバックパッカー君に訊く。「将来の夢とか目標って何?」と。彼は答える「そうだな、好きなケーナを作成して演奏して行く事かなぁ」と。そうか・・・何も人生の目標は「何々になる」や「会社で出世する」や「安定した生活を送る」みたいな事ばかりじゃ無かった筈だ。自分の好きな事を「とことん」貫き通す事も、人生の目標なのだ。ただし、人は生きて行く為にはその糧を得なければならない。糧を得る為に「何か」を犠牲にする。日々「何か」を犠牲にしている代償は、果たしてどれ程のものなのだろう?私は本当にその「何か」を犠牲にする必要があるのだろうか?「何か」を犠牲にして迄得なければならない糧って一体何なのだろう?自問自答が渦巻く。しかし、バックパッカー君は言う。「でも、今のところケーナ演奏だけで糧を得るのは難しいから、旅に出たくても出られないんだよねぇ。難しいところだわ」と。嗚呼!好きな事を「とことん」貫く事も実は大変だったりするんだよねぇ。頑張れ!バックパッカー君!

そんなバックパッカー君が私に言う。「チベットは野良犬に気を付けた方がいいよ。チベットの野良犬は凶暴らしいから。それと、日本での前泊は悪い事言わないからホテルに泊まった方がいいよ」と。これは素直に従った方が絶対にいいだろう(笑)現段階で分かっている事は、羽田到着が遅い為に成田空港はおろか、成田にさえも辿り着けないと言う事!(笑)行けるところ迄行くしかないだろう!(笑)