成都から空路チベットへ。そして陸路ラサへ。

MALENA2004-08-16

時計の針は午前6時を指していた。定刻6時5分成都発ラサ行き中国国際航空4403便の窓から外の様子を窺うと、どうやら激しい雷雨らしい。ホテルを出た時は雨が降りそうな気配すらなかったが、雨季とはそう言うものなのだろう。程なくして離陸を告げるものだろうか?機内にアナウンスが流れる。と同時に後ろの席の中国人御一行様から「んあぁーーーっ!」と言う怒涛の叫び声が!一体全体何が起こったと言うのだろう!?暫し様子を窺ってみると、どうやらこの雷雨で出発が遅れるらしい。乗客は一旦飛行機から出される事に。ゲート近くのモニターで新たな出発時刻を確認すると8時半に変更と書いてある。あと2時間もあるのか・・・。そう言えば朝食をとっていなかった事を思い出し、飲み物やお菓子を調達しに行く。さてと、煙草でもと思ったのも束の間、6時40分に突然4403便の搭乗案内を告げるアナウンスが!ベンチで横になっていた人も、カップラーメンを食べていた人も、慌てて機内へと向かったのは言うまでもない(笑)こうして4403便は、約50分遅れで一路チベットへ向けて離陸したのだった。

重たい着陸音と同時に目を覚ますと、そこは既にゴンカル空港の滑走路だった。どうやら出発が遅れた割には、定刻よりもそれ程遅れずに到着したようだ。機内から垣間見える景色は、どこか険しそうな面持ちの山々と、何となく不機嫌そうな色をした空。成都とは全く異なるその風景。嗚呼!ようやくチベットに着いたのだ、と未だ半分は眠っているであろう私の脳ミソがその事実を認識する。

空港から一歩外に踏み出し先ず空を見上げる。午前10時だと言うにもかかわらず、空はまるで日暮れのようなどこか寂しげな色をしていた。そして深呼吸をしてみる。ゴンカル空港の標高は確か海抜3600mだったと思うが、空気の薄さや息苦しさは感じない。幾分「ひんやり」とした空気が気持ちいいとさえ感じる。ここからラサ迄は約100km。バスで約2時間。私達を乗せたマイクロバスは、一路ラサに向けて出発した。

車窓からは、これ迄目にした事の無いどこか厳しい表情をした山々が果てしなく連なる景色が私の目に飛び込んで来る。とうとうチベットに来たんだ!と改めて認識する。この山々の先にはラサがある!マニ車を回しながら道を歩き、五体投地をしながら祈りを捧げる人々で溢れているであろうラサが!車窓から見える景色が、一つまた一つと山を追い越して行く度に、私の心はもうすぐこの目が見るであろうラサの街に、チベットの人々に思いを馳せる。眠ってなんていられない!

橋を渡ると標識が出ていた。左に行くと(多分)シガツェ、右に行くとラサ。
ラサに着実に近づいて来ている。
早くこの目でラサを見たい!
この時点で既に「高山病」と言う言葉が私の頭の片隅にも存在していなかったのは言うまでもない(笑)