行き先は神秘の湖から海抜4200メートルの温泉に変更された。

MALENA2004-08-20

チベット滞在3日目。本来の予定であれば、この日の行き先はヤムドゥク湖だったのだが、一昨日の雨でヤムドゥク湖への道が崖崩れにより通行不能になってしまったらしい。昨日の段階で既にヤムドゥク湖行きはかなり「微妙」な様子だった。おそらくチベットの道路は一日やそこらで復旧する事自体難しいのであろう。にしても・・・こんな時「こそ」人民軍が活躍してくれてもいい筈だろう!と思わずにはいられない。

この日の行き先は、ヤンパチェンと言うところに変更となった。このヤンパチェンと言う所、何と海抜4200mに存在する「温泉」なのだ。ぶっちゃけ「チベット温泉」とでも言おうか。まるで秋のように寒い朝だったラサを、バスは一路ヤンパチェンに向けて出発する。

ラサを離れるにつれ、バスはまるで山々に飲み込まれるかのように川沿いの道をひた走る。行き交う車もそれ程多くはない。途中成都発ラサ行きのバスと擦れ違う。成都から陸路でラサ迄は何時間いや何日かかるのだろう?かなりキツイ行程かとは思うが、陸路でチベット入りする方がいろいろな意味で「断然」楽しめそうな気がしてならなかった。バスの両側に迫るように連なっていた山々の様子が、なだらかな高原の大地に変わり始める。その大地の一角でヤク(チベットにいる毛足の長い牛)の放牧がされていた。バスを降りてヤクを見に行く。見慣れない連中に興味を持ったのか、一瞬にしてヤク達がこちらに向かってドドドーッと押し寄せて来る。数メートル手前で止まり私達をジッと見ている。10秒程こちらを凝視した後、ヤク達は突然ドドドーッと去って行った。まるで私達の熱い眼差し!?に照れてしまったかのように(笑)近くにヤク飼いのあばさんがいたので、話がしたくなって(とは言っても私の場合のコミニュケーションの術は、基本的に言語ではなくて身振り手振りの方が圧倒的に多いのだが、笑)おばさんのもとに足を運ぶ。はにかんだような笑顔のおばさんは毛糸を紡いでいた。「上手ですね」と言いたくて、私も毛糸を紡ぐ動作をして拍手してみる。通じたかどうかは定かではないが、おばさんは更にはにかんだ笑顔をしてくれた。おばさんは紡ぐ前の毛を差し出し(多分)触ってごらんと言う。ふわふわと暖かい。私も笑顔で(日本語で)ふわふわしてるねと言う。最後に握手したおばさんの手は深い皺が刻まれてごつごつしていたが、ふわふわと暖かい羊の毛よりももっと暖かかった。おばさんの暖かい手で紡がれた毛糸は、やがて暖かいセーターにでもなるんだろうなぁと思いながら私は手を振る。おばさんも手を振り返してくれた。はにかんだような優しい笑顔で。

広野にぽつんと現れた建物の前でバスが停まった。どうやらここがヤンパチェン温泉らしい。屋外プールのような施設とこじんまりした食堂に売店。何だかやけに「つまらなさそう」な場所だ・・・。しかも水着を着用しないと温泉に入れないらしい。「私は構わないから屋外はともかく屋内は裸で入ってはダメか?」の問いに対してガイドさんは答える「それはダメです」と(笑)売店には一応水着が売られていたが、どれもこれも最高に「冴えない」水着達。私は早々に温泉を諦める事にした。する事がないので、プールの入り口の係員らしき兄ちゃんにプールの水を触らせて欲しいと頼んでみる。身振り手振りの要求が通じたらしく中に入れと合図する。温めのいい「お湯加減」だった。その後、何やら麺を作っているブースを発見する。中を覗くと真っ赤な色をしたスープがやけに美味しそうだ。唐突にその麺が食べたい衝動に駆られ、チケット売場と思しき所の窓口のおじさんにブースを指差しながら言う「麺、麺」と。どうやら通じたらしく隣を指差す。どうやら隣の窓口でチケットを買えとの事らしい。隣の窓口で同じ動作をすると、あっさりと麺のチケットは買えた。一杯5元と言う事は日本円で100円もしないと言う事か。チケットには漢字で「牛肉面」と書かれていた。さて、この牛肉面きし麺風の麺に辛味の効いたスープに細かい牛肉の煮込みが乗っていて、お味の方もなかなか美味。これで100円以下は「食べ得」と言えるだろう。

ヤンパチェンから戻ると、今日も私はスーパーに足を運んでいた。お菓子や飲み物や、そして何よりもアイスを買うために(笑)