目覚めると、悪魔が囁いた。

午前7時。いつものように目覚ましが鳴る。いつものように目覚める…筈が悪魔が囁く。今日はどうにも仕事がしたくない、と。毛布に包まったまま、動こうとさえしない私。今日は10時から来夏物商品の打ち合せがある。でも、どうしてもその打ち合せに出たくない。15分経過。取り敢えずは朝食の支度をする、身仕度をしながら。いつもより15分遅れで朝食をとる。このペースで出勤しても始業時間には間に合う。が、しかし…朝食を食べるペースが鈍る。8時45分。今日は頭痛がひどいと電話をしようと決める。9時。突然携帯が鳴る。給湯器の会社からだった。何でも9時半から10時の間に修理しに来たいと言う。二つ返事で了解する私。会社にはその旨を連絡し、遅刻決定。妙に嬉しかったのは何故だろう?修理の間、ぼーっとしながら煙草を吸っていたらメールが入る。こんな時間に誰だろう?メールは香港に駐在する知り合いからだった。この人も、あの騒動の辛かった時に私を励まし勇気づけてくれた人。頑張れ!と書かれたメールを読み終えた私は、煙草なんか呑気に吸っちゃってる自分を悔やんだ。香港の会社の中で日本人は自分一人、周りは皆香港人。家族を日本に残して一人で頑張っている人が朝から励ましのメールを送ってくれているのに、私ときたら仮病を使ってまで会社に行く事を拒んでいる…何だか…まるでガキみたいだよ…私…。修理(結局修理不可能で取り替える事に。因みに取り替えるのは土曜。それ迄は銭湯通い、笑)が終わると、私は身仕度を整え部屋を出た。正直言うと、行きたくない気持ちは変わらない。でも、行かなければ知り合いに申し訳ないと思えてならなかった。知り合いからメールが来なければ、私は悪魔の囁きに従って間違いなく会社を休んでいただろう。部屋から一歩踏み出す勇気をくれた知り合いに感謝!