そこに私の視界を遮るものは何もない。

MALENA2005-05-13

砂漠の空は気紛れだ。

容赦なく太陽の光を降り注がせたかと思えば、突然太陽を雲で包み込み、乾いた青色の空を不機嫌そうな灰色へと変える。ごうごうと吹く風は、木々の葉を地面に叩きつけ、砂をまるで生きものの如く空へと舞い上げる。

ヤズドからイスファハンに向かう砂漠の一本道をバスはひた走る。
車窓から見える風景は、どこまでも果てしなく続く砂漠と青い空。視界を遮るものは何もない。砂漠の終わりから空が始まっていると言った感じだろうか。この風景、何て気持ちがいいのだろう!

イラン国内に点在する砂漠は、砂砂漠ではなく土漠砂漠なのだそうだ。
乾いた大地には、背の低い植物たちが懸命に生きている。強い風に吹かれ、それでも空を見上げながら。

ヤズドからイスファハンに向かう途中、ナーインと言う街の街外れのパーキングエリアにトイレ休憩を兼ねて立ち寄る。フとどうにも喫煙したい衝動に駆られ、トイレの裏でコソコソと一服(笑)イスラム教国で、女性が人前で堂々と喫煙するのはやはり良くないよなぁ・・・と思い人目につかない場所でコソコソと喫煙。旅の必需品、携帯用灰皿に灰を落としながら目の前にある排水溝に目をやると、妙〜な落書きを発見。

落書きって、或る意味世界共通なんですね(笑)

パーキングエリアでは、様々な人たちが暫し休息を取っているようだった。
長距離トラックのドライバーとその助手。スイカを売る人。旅の途中の家族連れ。スイカを買う為に車を止める人。そんな中、赤ちゃん連れの家族と目が合う。お父さんに「高い高い」をされて、キャッキャと笑う様子がもう凄く可愛かったので(笑)写真を撮らせてもらう事に。「お父さんも入って」と言ったのだが、お父さんは恥ずかしそう笑いながら手を横に振り、女の子を車の上に乗せてくれた。デジカメのモニターをお父さんに見せると、女の子を抱き抱えながら、それは優しい笑顔でメルスィ(ありがとう)と言ってくれた。いやいや、お礼を言わなければならないのは私の方ですって!(笑)

この街からイスファハン迄は、あと二時間ちょっとらしい。
嗚呼!イスファハンが私を呼んでいる!!!(笑)