靴を脱いで立膝で。それが流儀。

MALENA2005-05-15

午後8時頃、夜のイマーム広場が目に飛び込んで来る。街中にアザーンが流れていた。嗚呼、終にイスファハンにやって来たのだ!

イスファハン最初の夜。ホテルの部屋で寛いでいる場合ではない!と言うワケで、数人でホテル近くのスィー・オ・セ橋を見に行く事に。何でもこの橋には「チャーイハネ通り」と言うチャーイ(お茶)を楽しむ場所があるんだそうだ。

ライトアップされちょっぴり幻想的な雰囲気さえ漂う橋は、地元の人たちで賑わっていた。デートするカップルに、家族連れに、お喋りに夢中になる今ドキ風の男の子のグループに、リコーダーで哀愁たっぷりのメロディを奏でる老人に、歌を歌うおじさん。皆この橋で思い思いの時を過ごしているようだ。

橋を渡りきったところにチャーイハネ通りはあった。
通り(橋の人間が通行する部分の下一部がチャーイハネ通りになっている。通りのすぐ下を川が流れている)に一歩足を踏み入れると、そこはもう「中世のペルシャ」と言った雰囲気だった。男の人たちがチャーイと水煙草を愉しんでいる。中世の雰囲気の中で繰り広げられているイランの日常。何とも不思議な感じだ。日本と違ってアルコールの無い国なので、男の人たちが仕事帰りに(お酒を)一杯と言う習慣は勿論無い。チャーイと水煙草を愉しむのは、もしかすると「一杯」と同じようなものなのかも知れない。

通りの中の一軒でチャーイをする事に。
中に入ると先客が水煙草を愉しんでいた。煙越しに歓迎してくれたのは、フランスから来たと言う女性だった。英語が喋れる彼女は気さくに話し掛けて来る。何処から来たの?へぇ、日本から。私、日本には未だ行った事がないのよ。一度東京に行ってみたいわ。優雅に煙を燻らせながら彼女は言う。(水煙草を指して)いい?と訊く私に彼女は言う。あなた、トライしてごらんなさいよ!と。

彼女の好意に甘えて、水煙草にチャレンジしてみる事に。
彼女のアドバイス通りにゆっくりと深く煙を吸い込む。オレンジの香りが広がる。訊けば、この水煙草はオレンジフレーバーなんだそうで、他にもさまざまなフレーバーがあるんだそうだ。キツイ感じは全くしない。むしろ普通の煙草よりも(って、マルボロを愛煙している私が言うのもナンですが)軽い感じがする。そして彼女は言う。水煙草はやっぱり”このスタイル”で愉しまなくちゃ!と。靴を脱いで立膝で、が水煙草を嗜む”スタイル”なんだそうだ。早速私も同じスタイルで煙を燻らす。うん、何だかいい感じ、かも(笑)

画像は水煙草を愉しむフランス人の彼女。やはり堂に入ってます。

イスファハン最初の夜は、中世のペルシャでチャーイと水煙草を愉しみながら過ぎて行ったのだった。