「6」と「7」の攻防戦。

MALENA2005-05-17

「6」と押した電卓をおじさんに向ける。顎に手をやり「んー」と一言言いながら「7」と押し、おじさんは電卓を私に向ける。

イマーム広場のバザールにある民芸品店で、ショーケースの上に置かれた密細工のティッシュボックスを挟んで繰り広げられている”攻防戦”かれこれ3分は経過していただろうか。おじさんは7$で「売りたい」と言い、私は6$で「買いたい」と言う。どうやら1$の壁は予想外に厚いようだ(笑)

正直言うと。
値段を聞いて7$と言われた時「え?思ったより安いじゃん!」と思ったのだった。食事をしたレストランでこれと同じタイプのティッシュボックスを見た時「千円くらいなら買いたいなぁ」と思っていたので。故に7$と聞いた瞬間思わず脳天気に「コレ下さい〜」と言いそうになったところでフと我に返る。いや、待てよ。ここで「言い値」で買ってしまってはおじさんに申し訳なくはないか?と言うか、「値切り」もしないなんてペルシャ商人に対して失礼なんじゃないか?

よく考えてみれば、日本円にして百円ちょっと。百円値切るのに時間をかけるなんて如何なものか、と思えなくもないが(笑)

おじさんは言う「見てごらん。これは一筆一筆手描きなんだよ。7$の価値あるじゃろ」と。私は言う「凄くキレイ。でも私は6$で買いたい!」と。とその時、この遣り取りに同じツアーの女性が参入する。このティッシュボックスを買いたいと言う。で、私はおじさんに提案する「二個で12$」と。おじさんは言う「一個7$だから、二個で14$じゃろ!」と(笑)

二つ並べて「12」と電卓を押しておじさんに向ける。「14」と押しておじさんは返す。むぅ・・・。意外に!?強気なおじさん・・・。ここで私はカタコト英語から日本語に切り替えて「あー、じゃあいい。あっちの店で6$で買うから」と言いながら店を去る(フリ)をすると、おじさんは言う「ああ、分かった分かった。オッケー12$でいいじゃろ」と。こうして攻防戦は終結する事となったのだった(笑)

6$で売っても、そこそこ儲けはあるのだろう。7$は観光客価格なのかも知れない。ただ、仮にイランに観光客価格があったとしても、それは他の国と比較した場合「すごく良心的」な価格なんじゃないかと思える。目に余るような
ボッタクリ価格にはお目にかからなかったし、観光客からボッてやろう、フッかけてやろうと言うギラギラ感も無い。

6$で買ったティッシュボックス。イランの物価から考えれば特別安いモノではないのかも知れない。でも、私にとってはその値段や値切った事よりも「イランの正直さ」みたいなものを垣間見たような気がして、ちょっぴり嬉しくなってしまったのは言うまでもない(笑)