アンコールワットは強く、そして美しい

MALENA2005-08-19

石でつくられたものは、その大きさの大小に関係なく重厚さが漂うように思えてならない。この目で見るアンコールワットから感じる重厚さも石造りに因るところが大きいのだろう。石の道、石の門、石の柱、石の階段、彫刻が施された石の壁。素のままでは、一見どことなく無愛想な顔を持つ石も、手を加える事によってその顔に様々な表情を持つようになるところがとてもおもしろいな、と感じる。

アンコールワットは「彫刻づくし」だ。
じっくりと時間をかけて丹念に彫刻を一つ一つ見て廻れば、きっと自分のお気に入りの彫刻に出会える筈だ。嗚呼、じっくりと時間をかけて彫刻を見たかったなぁ・・・。もっとたくさんの彫刻と目が合いたかったなぁ・・・。所謂パッケージツアーの悲しいところは、時間の制約がある事。アンコールワットとて例外ではなく、特に有名な彫刻以外は素通りで、フリーの時間は30分ほどしかない。また、アンコールワットは建物が東向きに造られている為、午前中に訪れた場合は逆光になり、特に写真が綺麗に撮れない事から午後に訪れる観光客が多い為、午後はかなり混み合う事となる。時間制限に加えてなかりの人ごみ。ちょっと消化不良だった、かな・・・。

とは言うものの。
月並みだけれども、アンコールワットは力強く、そして美しかった。十年ほど前迄はそうそう簡単に訪れる事は出来なかったであろうアンコールワット。少々消化不良だったとしても、この目で見る事が出来た事は素直に嬉しい。カンボジアの大地に感謝。そして、時代が違うとは言えこんなにも簡単にアンコールワットを目にしてしまって、一ノ瀬泰造に申し訳ないような気がした。

石は素のままだと一見無愛想に見えてしまう。
でも、石って無愛想なのだろうか?それに、無愛想な事は良くない事なのだろうか?そんな事を思いながら石柱に触れてみる。外気のせいもあるんだろうけれども、ほんのりと温かい石の感触。表面ではなくて、内面から込み上げて来るような温かさ。「見た目」は大切。でも「見た目」は全てじゃない。大切な事は「五感」で感じる事。人生は、ありとあらゆる事の積み重ねの連続のようにも思える。私はこれから先も、どんな事でもいいから「五感」で感じた事を”ちまちま”と積み重ねて行きたい。