自然のありのままの色は美しい

MALENA2005-08-24

アンコールワットに続き、今日はやたらと登るなぁ・・・」
ところどころゴロゴロとした大きな石が転がるプノン・バケンの山道を登りながら思う。でも、これを登りきればカンボジアの夕日が待っている!

高さ70mほどのプノン・バケンは、シェムリアップ一の夕日の名所らしく地元の人はもとより様々な国の人々が訪れていた。時間からして皆夕日を見に来たのだろう。石段に腰掛けたりしながら皆が皆同じ方角を向いている。私も欧米人と思しき御婦人の横に腰掛け、ややオレンジ色を帯びてきた空を見る。カンボジアの日の入りは午後6時20分頃。あと15分もすれば日が沈む。

何気なく後ろを振り返れば、オレンジ色と朱色の僧衣に身を包んだうら若き僧侶が二人。「夕日色」の僧衣がとても似合っていたので写真を撮らせてもらう事に。因みにカンボジアでは、女性は僧侶に触れてはいけないらしい。托鉢の僧侶に何かを渡す時も直接渡してはいけないので、後ろにいる代理人に手渡すのだそうだ。「写真撮ってもいい?」と訊くと、彼等は笑顔で快諾してくれた。デジカメのモニターを見て彼等は言う「おぉ〜!ファンタスティック!」と。左側の彼が余所見をしてしまっているのがちょっぴり残念だったけれども、キリッとした佇まいに夕日色の僧衣がとても素敵だった。

西の空をじっと見つめる。雲の隙間からオレンジ色が途切れ途切れに見えるものの、空が全部オレンジ色に染まる気配は無い・・・。と思ったところで集合時間がやって来る。・・・残念〜!もう少しでジャングルの彼方に太陽が飲み込まれて行く光景が見れたかも知れないのに!

後ろ髪を引かれる思いで乗ったバスがアンコールワットのお堀の辺りにさしかかったところでフと窓の外に目を遣ると、砂糖ヤシの木の間から見上げる空は、仄かに帯びてきた深い群青色と濃いオレンジ色のコントラストが息をのむほど美しかった。

ごく当たり前の日常にそっと溢れている「美しさ」
それらは時として掌では掴む事の出来ないものかも知れないし、写真に収める事が出来ないものかも知れない。「かたちあるもの」ではない事もあるかも知れない。それらはきっと全身の細胞で「感じる」ものなのだろう。「美しさ」を感じる事に理由は要らない。

私は、私の魂が私の肉体を離れるその瞬間迄、日常にそっと溢れている「美しさ」を感じていたい。