何事も「どうしたらいいのか解らない」人々

MALENA2005-09-03

「ハロー!ハロー!」

5、6才くらいかと思しき子供が三人、こちらに向かって笑顔で手を振っている。一見無邪気で屈託のない笑顔。でも、私はその笑顔に「何か」引っ掛かるモノがあった。男の子が身振り手振りで話しかける「ボクたちの写真撮らない?」と。

やっぱりね。
その笑顔はお金を得る為の笑顔。彼等は被写体になった見返りとして1$を要求するのだろう。そんな現場を短いカンボジア滞在中に何度か目にしている。その光景を目にする度に何か腑に落ちない、と言うか悶々とした気分に苛まれていた。世の中、お金はそんなに簡単に稼げるものではないし、それ以上にお金はそんなに簡単にあげていいものではないんじゃないだろうか?その事に国や地域差や経済格差なんて関係無いんじゃないだろうか?

日本人から見て、カンボジアと言う国が貧しく見えるから?子供たちが可哀相だから?貧しいから、可哀相だからお金やお菓子をあげる?でも、それって何か違うんじゃない?私はカンボジアが貧しいとは思わない。緑豊かな国土には様々な作物が実り、湖には石油が出ると聞く。そして、遺跡がある。日本よりも遥かに資源は豊富に違いない。確かにナンバープレートの無い車やバイクを多く目にする事からも、税金を払っていない国民も多いのだろう。国家自体に収入がないと財政が不安定なのは当然だが、それ以前に豊かな資源をカンボジアの人々が「どうしていいのか解らない」と言うのが現状らしい。遺跡の入場料の実権はベトナム人実業家が握っているので、入場料の全てがカンボジアに入るワケではないにもかかわらず、その事に対して「どうしたら良いのか」解らないらしく、石油が出る事は分かっていても、ならば「どうすれば良いのか」解らないんだそうだ。「分かってはいるけれども、どうしたらいいのか解らない」と言うのがカンボジアの人々が抱える現状らしい。

子供たちが「作り笑顔」でワンダラー!と言わなくなる日がやって来るのだろうか。作り笑顔なんかじゃなくて、子供たちが自分の国の将来を考えた時に、希望や期待にワクワクする笑顔で溢れる日がやって来るのだろうか。「どうしたらいいのか解らない」の答えは、通りすがりの観光客がバラ撒く1$札やお菓子や物では決して出る事はない、と私は思う。