あるがままの美しさ

MALENA2005-09-07

突如アキレス腱のあたりにチクリとした痛みを感じる。一体何!?慌てて右足のアキレス腱を見ると大きな赤い蟻が・・・。昆虫は大の苦手であるにもかかわらず、慌てて素手でその蟻を掴み放り投げる。お尻強打といい油断も隙もありゃしない、ベンメリア遺跡。

ただし、刺されたのが赤い蟻で良かったんだそうだ。小さな黒い蟻は毒蟻なんだそうで刺されたら大変な事になる、とお助け隊の一人で「仮面”ノリダー”」にちょっぴり似ているおじさんはカタコトの日本語を交えながら言う。このおじさんを含め、お助け隊のメンバーはちょっと凄い。スニーカーを履いていても常に苔に足を取られ、時には足が朽ちた板を突き抜けるといった事が実際に起こったにもかかわらず、彼等はビーチサンダル履きでスイスイと華麗に、そして優雅に遺跡を渡り歩く。その姿は本当にカッコイイ!

お助け隊の一人に身振り手振りで訊く「滑らないの?」と。最初はキョトンとしていた彼だったが、二回目の身振り手振りで何を訊かれたのか解ったらしくクスッと笑いながら言う「オーケーオーケー」と。ベンメリア遺跡では、彼等には本当にお世話になった。彼等がいなければ私は何回お尻を強打していた事だろう・・・。

シェムリアップからは少々離れている為ちょっぴり不便なのかも知れないが、ベンメリア遺跡には「あるがままの美しさ」が静かに漂っていた。苔や崩壊した石たちが放置されている光景には或る種の「侘び寂び」のようなものすら感じる。此処もアジアの一角なんだ、とフと思った。