「切なさ」と「滅びの美学」

MALENA2006-01-04

先日、水上バスに乗っていた時の事。

乗船して10分くらい経過した頃だろうか。左手を何やら奇妙な形をした物体が通り過ぎて行く。友人曰く「ちょっとワラジ虫に似ている」その物体は、松本零士がデザインを手掛けた「ヒミコ」と言う名前の水上バスだったのだ。

ここで、突如として「ヤマト」(宇宙戦艦ヤマト)話に花が咲く。
地球を救う為に、イスカンダル星にコスモクリーナーを取りに行く事がヤマトに課せられた任務だったと記憶しているが、今思えばこのコスモクリーナーと言うネーミング・・・。♪ぎーんがをこえてーイースカンダルへー♪の力強いオープニングの歌を思うと、何だかどことなく掃除機っぽくて妙〜にショボイような・・・(笑)「コスモクリーナー」がドツボにハマり、暫し笑いが止まらなかった私・・・(笑)

宇宙と言うテーマとストーリーも去る事ながら、子供だった私は「波動砲」「ワープ」「ガミラス星」「コスモタイガー」などなどの言葉にも心惹かれていた。でも、子供の私が本当に心惹かれていたのは、「切なさ」と「滅びの美学」だったような気がする。当時は子供だったので、切なさと言う感情も、滅びの美学についても、どう解釈して良いのか解らなかったのだろう、多分。

登場人物の中では、開口一番「ヤマトの諸君」と言い、いつだって顔色の悪い(って、これが本来の顔色なのだが)デスラー総統が一番印象的だったように思う。いや、一番好きだったのだ(笑)普通の子供なら古代進とか島大介とか森雪とか言うのに。当時から感性がズレていたんでしょうな、私は・・・(笑)

地球を守る為に、命を落として行くヤマトの戦士たちが切なくて泣いたが、「さらばヤマトの諸君」と言う言葉を残し、宇宙空間に旅立つデスラーの最期にはもっと泣いた。この人、死ぬ時もカッコイイ・・・。切なさを伴った死に様と、滅びの美学を伴った死に様。子供心には、どう解釈したら良いのか解らない感情だった「切なさ」と「滅びの美学」

遺跡を見るのが好きなのも、鄙びた港町の情景が好きなのも、散りゆく桜の花びらが好きなのも、冬近い秋の空が好きなのも、廃墟に心惹かれるのも、道端に重なる落ち葉が気になるのも、千利休や信長の死に様に涙するのも、それらが皆「切なさ」と「滅びの美学」の要素を孕んでいるからなのかも知れない。

「切なさ」と「滅びの美学」は、私が思っている以上に奥深いものなのだろう。魂が私の身体を離れる瞬間迄に、この二つの感情の本質を見極める事が出来れば、と思わずにはいられない。