これから先も、あるがままの姿でいてほしい

MALENA2006-05-25

西表島の人口は約2,100人。主な産業は農業(サトウキビやパイナップルの栽培)離島便が発着する大原港周辺がこの島で一番栄えている地区なんだそうだが、車の往来も殆どなく、静かな集落と言った感じだ。

私の場合、西表島と言って先ず思い浮かべるのは、海でもマングローブでもなく、やっぱり西表ヤマネコなのだ。(間違っても蝶ではない・・・)その西表ヤマネコだが、現在80〜100匹ほどが西表島に生息しているんだそうだ。夜行性の為、島の人々も殆どその姿を見かける事はないそうだ。緑深いジャングルでひっそりと静かに生きている西表ヤマネコ。その姿や鳴き声(にゃーと鳴くのだろうか)をこの目や耳で確かめたい気持ちは猛烈にあるが、彼等の「あるがままの姿」を奪ってまでも目にしたいとは決して思わない。

西表島に多くの観光客が訪れるようになってからというもの、車に撥ねられて命を落とす西表ヤマネコの数が着実に増えているんだそうだ。遠い昔からこの島で地道に細々と生きて来たであろう西表ヤマネコ。観光客の増加が彼等の命を奪うような要因になってしまう事だけは、絶対にあって欲しくないと思う。

西表島では、昔はマラリアによって一つの集落が壊滅してしまった事もあると言う。気候や風土が東南アジアに近いのだろう。

70年代ベトナム戦争の頃、アメリカ軍はその地形がベトナムに似ていると言う理由から、西表島ベトナム戦争の演習を行っていたそうだ。穏やかな風が吹いていたであろう丘の静寂は砲弾の音によって破られ、空を仰ぐ緑たちは戦車によって踏み付けられたであろう事は想像に難くない。

その時、緑深いジャングルの奥から、西表ヤマネコたちはこれらをどんな思いで見つめていたのだろう。