エメラルドを濃厚にしたような色をした海

緑色をした海を見たのは生まれて初めてだった。その色は、エメラルドを濃厚にしたような色だった。

石垣島の中心部から車で約４０分ほどの所に位置する川平湾。ここは、日本百景に選ばれているほど景色の美しいところなんだそうだ。私的には景色そのものは今ひとつピンと来なかったのだが、海の色は信じられないくらいに美しい緑色をしていて驚かされた。

折角なので、グラスボート（船底がアクリル板になっていて海中を覗く事が出来る船）に乗ってみる事に。アクリル板を通して覗き見する海の中は、思っていた以上に楽しい。それこそ視線が釘付けになってしまった。

ニモのモデルになった「クマノミ」や、青や黄色や黄緑色の鱗をした魚たち。水族館でよく見かけるような熱帯魚（不謹慎にも食べる事が出来るのかどうか気になってしまった・・・）に珊瑚の数々。嗚呼、此処は珊瑚礁なのね、当に！生まれて初めて目にする珊瑚礁は、本当にいつ迄も見ていたい程目に鮮やかだった。

私が生れ育った北海道の海は、冬はずっしりと重たい鉛色、夏はきりりとした群青色をしていて、海中を覗くのはどことなく怖いような感情を憶える色をした海だったような気がする。でも、私はそんな北の海が決して嫌いなワケじゃなくて、むしろ好きだったような気もする。

同じ日本でも、北と南ではこんなにも海の色が違う。泳ぐ魚も違う。

ちょっぴり曇った空の下、日本って案外広いんだな、と思った。