蛙君北の島に帰る

ランチから戻りトイレに向かって歩く私に、わざとらしい笑みを浮かべ密かににじり寄って来る蛙君・・・。
げ・・・キモチワルイ・・・。

「あのぅ」
「え、何?」
「じつはぁ、ぼくぅ・・・」
「んあ?何?」
「10月10日付でぇ、会社辞めるんですぅ・・・」
「え!?んあぁ!?何ぃ!?」
「誰にもぉ、言わないでぇ、下さいねぇ」
「ああ、分かった。で、どうするのよ?」
「札幌に帰りますぅ。(実家は北見だろう・・・)でぇ、今度はぁ、○○で営業としてぇ、働きますぅ〜〜〜」

んがんんっ!!!
何でも、札幌勤務時代に同僚だった同い年の元社員(彼は同業他社で働いている)に転職したいと話したところ、同業他社の○○社が札幌勤務の営業を探しているみたいだから話してみようか?と言う話になり、その後トントン拍子で転職が決まったらしい。

バカ上司にいつもいわれのない理由で難癖をつけられ常に八つ当たりばかりされていた蛙君。このバカ上司は以前私の上司でもあったのだが、私のように「付け入る隙のない」人間には何も言えない分、蛙君のように「隙だらけ」の人間にはしつこく攻撃しストレスを発散すると言う陰湿極まりないヤツ故に、蛙君もほとほと嫌気がさしていたのだろう。我慢の限界はとうに超えていたに違いない。

一見ぼーっとしてそうな蛙君だが、実はしっかり者だったのか・・・。
いや、ぼーっとしてる蛙君が行動を起こす程、この会社は腐りきっているって事なのかも知れない。若手や中堅どころがぞろぞろと辞めて行くもんな・・・。

先日会社を辞めた同い年の男性社員もそうだし、皆それぞれに自分自身の将来の事を考えている・・・。それに比べて私は・・・。不得手分野とは言え、将来の事はやっぱり考えていないワケで・・・。ただただ仕事をやっつけるだけの毎日で・・・。うわぁ・・・猛烈にイヤな感じ・・・。

一部の人しか知らない筈の蛙君の退社話は、担当替えを不服とする後任者が「アイツのせいでオレがとんだトバッチリを受けた」と言う台詞と共にアッと言う間に部内に広めてしまっていたようだ・・・。やれやれ・・・。

札幌時代を含め蛙君とはかれこれ五年近くの付き合いになるのだろうか。
どちらかと言えば要領が悪く、お世辞にも仕事が出来るタイプとは言い難いが、我慢強い性格は次の仕事でもきっと生かされる事だろう。頑張って欲しいと思う。万が一蛙君が出世したら、アシスタントとして雇ってもらおうか(笑)