そこに伝えたいと思う気持ち、意志があれば

MALENA2006-10-17

その街は1923年からトルコの首都で、(それ以前のオスマントルコ時代はイスタンブール)一番最初にアンゴラウールを生産した事から、昔はアンゴラと呼ばれていたんだそうだ。そのせいか、街には山羊のオブジェが多いんだそうで。

トルコの首都アンカラの街は標高が高いのだろうか?空気が他の街と比べて幾分ひんやりと感じる。ホテルが比較的街中だった事もあり、夕食後は街を探索してみる事に。

ほぼ店じまい状態の花屋さんの前を通りかかると、最後の花たちを建物の中にしまおうとしている狸の置物のような立派なお腹をしたおじさんと目が合う。笑顔で「どうも」って感じに会釈をすると、おじさんは何かを言いながら、優しい笑顔で私に向かって手招きしている。おじさんの方へ歩み寄ると、おじさんはしまおうとしていた壺の中から花を一本取り出したものの、次の瞬間「!」としたような表情をし、「ちょっと待ってて」と言う身振りをし建物の中に入ってしまった。

程なくして戻って来たおじさんの手には、一輪のピンク色のカーネーションが握られていた。嗚呼、おじさんは私の為にわざわざこの花を奥まで取りに行ってくれたんだ。通りすがりの旅行者なのに、何てありがたい事なのだろうと思う。

カタコトの英語と身振り手振りを交えながら(おじさんは殆どトルコ語を話していた)少し会話した後、おじさんにお花のお礼を言い立ち去ろうとすると、おじさんは「ちょっと待って」と言う身振りをし、紙とペンを取り出し、何やら書き終えると私に手渡した。そして、片手で電話する身振りをしながら(多分)今度アンカラに来た時は電話しなさい、と言いながら手を振り私を見送ってくれた。

以前トルコの人たちは旅人に親切だ、と言う話を耳にした事があるけれども、それって本当だったんだな、と思った。トルコに来てからは急ぎ足で観光地ばかりを(当然と言えば当然だが)巡っていた事もあり、街角で普通にトルコの人とコミニュケーションをとる機会なかったもんな・・・。

たとえ共通の言語を話さなかったとしても、思いを伝える術はいくらでもある、と私は思っている。そこに伝えたいと思う気持、意志があれば。