国宝の金堂で読経を聞く

MALENA2006-12-22

朝のお勤めに参加する為未だ宵闇が残る深い群青色をした空の下をとぼとぼと歩き金堂に辿り着く。蝋燭の灯りに映し出される阿弥陀三尊の姿は何とも神秘的だった。

御室仁和寺の金堂は国宝に指定されている。(因みに御室仁和寺世界遺産)そう言った事情からか本来であれば拝観者は金堂の中に入る事は出来ないのだが、御室会館に宿泊し朝のお勤めに参加した者は特別に金堂の中に入る事が出来る。(因みに金堂内の写真撮影は禁止されている)

静まり返った金堂には私の他にお勤めに参加する人が三人。蝋燭の炎は橙色を湛えながらすうっと燃えていた。何だか妙〜に心が落ち着く。静かな足音と共に数人の僧侶が金堂に現れ、一番位の高そうな感じの僧侶が阿弥陀三尊の前に座ると読経が始まった。

読経は何故か歌のようにも聞こえた。僧侶一人一人のお経を読み上げる声が微妙に重なり合って合唱のようにも聞こえる。読経にじっと耳を傾けていると、何やらザワザワと話し声がする。フと後ろを振り返ればお勤めに参加する為に金堂にやって来た人が10人余り。金堂の前で思い切りフラッシュなんか焚いちゃって記念写真なんかを撮っている。金堂の中ではないから勿論ルール違反ではないんだけれども、厳かな空気と蝋燭の灯りの中でお勤めが始まっていただけに微妙〜にテンションが下がる・・・。

気を取り直して読経に耳を傾ける。ここでフと思う。私の中ではお経と木魚はセットになっていたのだが、木魚の音は無く変わりにシンバルのような音が入る。お恥ずかしながら、お経と木魚は必ずしもセットではない(宗派によって違う)と言う事を知り・・・。

阿弥陀三尊の姿が次第にくっきりとし始め、ようやく夜が明けて来た事を感じる。朝のお勤めが終る頃には、金堂の中には朝の陽射しが射し込み清々しい気持ちになる。が、それにしても寒い・・・。お勤めの後法話のようなものはなかったが、若い僧侶が御室仁和寺の歴史を話してくれた。その後は30分ほど未だ観光客のいない御室仁和寺を散策。二年前に訪れた時とは季節も違うせいか、庭の様子も違って見える。五重塔は厳しい表情をしているようにも見えた。

散策の後は御室会館で朝食をいただいたのだが、湯豆腐がついていたのには少々感激。(朝食自体も美味しかった)ちょっぴり冷え切った身体がほんわかと温まったのは言う迄もない。