信州の山々が織り成す風景に圧倒される

MALENA2007-03-11

週末、仕事で信州のとある山間の町に行って来た。

人口約5万人ほどらしいこの町は、周囲を高い山々に囲まれた結構なアップダウンのある地形の町で、郊外にジャスコはあるらしいものの駅周辺の所謂中心部は妙〜に寂れた感じのする町だった。

午後6時。焼肉を食べに行くと言うおやじ達の誘いを「あー。ご飯なら一人で食べられますから」の一言で振り切り町をフラフラしてみる事に。銀座と名の付く商店街を歩く。何だか活気のない銀座だ・・・。頬に感じるもの凄く冷たい風は、やがて身体の芯まで骨の真ん中までつーんと冷やす。一言で「寒い・・・」

フと橋の上から山の方を見ると、夕暮れ時の淡いオレンジ色の光に照らし出される山々が見えた。オレンジ色の光によってくっきりと陰影が浮かび上がる山肌の輪郭は、大胆な筆運びで描かれた絵画のようで本当に美しかった。寒さがふうっと和らぐ。

寂れた感じのする通りをとぼとぼ歩いているとやがて駅に辿り着いた。
コンビニは一軒だけあるものの、デパートは元より、ファーストフードのお店も、漫喫も、マツキヨも、シネコンも無い駅前。シャッターが下ろされたままの店舗も幾つかあり寂れた感がぐぐぐっとにじり寄って来る・・・。

駅前にあるお店で夕食をとり、名古屋では「赤だし」と呼ばれる濃い茶色をしたお味噌汁だけど、隣の県にあたる信州ではお味噌汁が白いんだ、などと思いながらすっかり日も暮れた駅前通りをホテルに向かって歩く。更に冷たくなった風が吹き、すっかり夜の空の色をしたこの町は益々寂れた感が増しているように感じる。銀座と名の付いた商店街にある昔から営業していそうな佇まいの和菓子屋で「きんつば」を買う。信州のきんつばは丸い形をしていた。他にもきんつばを扱う和菓子屋さんを見たけれども、信州のきんつばって有名なんだろうか?などと考えながら通りを歩く。嗚呼・・・やっぱり寂れているなぁ・・・。

でも。
空と空気は本当に澄んでいてきれいなんだよねぇ。冷たい風もこの澄んだきれいな空気から作られているせいなのか、冷たいんだけれども気持ちいいとさえ思えて。

翌日、仕事中フと窓の外に目を遣れば緑色と茶色の中間のような色をした山の後ろに雪を頂いた山々の風景が見えた。青い空と白い雲と白い山。自然に在る色たちが織り成す風景にただただ圧倒される。

夜の空の下、寂れてるなぁ、とか、洋服にしろ映画にしろ何にしろ、この町に住んでいる人はきっと限られた範疇の中からしか選択出来ないんだよな。欲しい洋服や観たい映画が無ければ遠くの都会迄足を運ばなければならない。それが嫌なら限られた中から選択しなければならない。嗚呼、私には絶対に無理だわ・・・なんて失礼な事考えたりもしたけれども。

この自然が織り成す色や風景にはそれ以上の価値や意味があるんだろうな、きっと。

帰りの車中、どことなく険しいんだけれども、やはり美しい山々の風景を目にしながら私はぼんやりとそんな事を考えていた。