門を隔ててそこに在る世界

MALENA2007-12-10

早起きして朝風呂。朝の冷たい空気と木々の香りが何とも心地良い。幾分「解毒」されたのか、気色のワルい部屋で一夜を明かした割りには(実際は爆睡していたが)猛烈に爽快な気分だ。

紅葉の季節はとっくに終っているのか、箱根湯本の木々の葉は紅色が少なく、黄色い木の葉が風が吹くと大量にサワサワと舞い落ちて来て、ちょっぴり切な気な光景が広がる。曇り空の下、まるで吹雪のようにサワサワと舞い落ちる木の葉を見ながら、知らぬ間に秋は終っていて、今季節は紛れも無く冬なんだ、と実感する。

・・・って、”一人センチメンタル祭り”かよ・・・(笑)

箱根には美術館なんかが幾つかあるようで、本当なら少し足を伸ばして行きたいところなのだが、今回は何よりも”ぼけーっとした”時間を過ごしたかった事もあり、目的も無く箱根湯本の町をフラフラしてみる事に。

町は一歩狭い路地に入れば、結構なアップダウンだったりして侮れない・・・。こちゃこちゃと民家が建ち並ぶ狭い通りを老人が一人歩いている。在り来たりだけれども、静かで穏やかな日常がそこには在った。

駅前にある大きな温泉ホテルの脇道から散策路らしい雑木林を登る。散策路を行くと「早雲寺」と言うお寺があるらしいのだ。(雑木林は急な登りでそこそこキツかった・・・)

早雲寺の入り口。

門の手前は「毒」や「欲」なんかがゴロゴロ転がっている「この世」で、門から先の世界は「あの世」だと感じてしまうのはどうしてなんだろう?現実は門の先の世界にも普通に毒や欲はあるんだろうけれども、門の存在によってそれらが表面的にはアリアリと見えては来ないから不思議だ。

早雲寺の鐘。

茅葺が何ともシブい。

早雲寺の裏庭。

単に無造作なのか、それとも計算し尽くされたものなのか。

訪れる観光客も殆ど無く。

空気も、何もかも、そこに在る全ての存在が静寂に包まれていた。

再び早雲寺の門の前に立ってフと思う。
何か、この感じ・・・一昨日見た石川町の駅を挟んで見た光景に似てなくもないな、と。