白と黒。光と影。

MALENA2008-01-20

遠い昔、戦国の世に生きる人たちは格子窓から射し込む光をどのような思いで目にしていたのだろう。その眩(まばゆ)さに希望を見たのか、それともその影に絶望を見たのか。

光と影が織り成す世界は、明日をも知れぬ世を生きた人たちの希望と絶望をそこはかとなく彷彿させる。

松本城天守閣は現存最古のものなんだそうだ。造られたのは戦国時代で当初は深志城と呼ばれていたんだそうだ。松本城と呼ばれるようになったのは本能寺の変の後らしい。

随所に見られる火縄銃や弓を放つ為の小さな窓。火縄銃の攻撃に備える為の厚い壁。石落とし(石垣を登って来る敵を石で撃沈)急な階段。松本城が戦うお城だった事を偲ばせる。

アンコールワットを彷彿させるような急な階段(場所によってはほぼ垂直に近い・・・。階段と言うよりは梯子を上る、いや”登る”ような感じ)

鎧兜に刀を身に付けてこの階段を難なく上り下りするのは、結構な健脚でなければシンドイかと・・・。ヘタレじゃ武士は務まらないと言う事か。

最上階。周りの敵を見る場所(望楼)として使われていたらしく、開放感があり他の階とは別世界だ。

が、一つ気になる事が。当然の事ながら窓ガラスなんかあるワケもなく、冷たい外気が四方からひゅぅ〜〜っと入って来る。雪が降れば格子の隙間から入って来るのだろう。冬は垂幕みたいなモノで格子窓を覆っていたのだろうか?それでも寒いに違いない。十分厚着をしている私だって寒いのに、昔の人たちはどうやって寒さを凌いでいたのだろう・・・。

青い空と白と黒のコントラストが美しい。

白と黒が作り出す美。光と影が織り成す生死感。美しいもの。生と死。決して抗う事が出来ないものたち。

400年と言う歳月そこに在り続けて来た松本城を前に、私はぼんやりとそんな事を考えていた。