時化の太平洋。おが丸は南南西に向かって進む!

MALENA2008-02-20

もう、先程からずっと背中の位置がほぼ一定間隔でズレては戻る・・・。
もう、殆ど眠ってしまっている脳ミソが悟る「太平洋は時化てるって事さね」と。

午前10時。
おが丸は定刻通り竹芝桟橋を出航する。思いっきり不機嫌そうな灰色の空と、その空から落ちて来る雨粒と共に。頬に受ける雨交じりの風が冷たくて、早々に2等船室へと引き上げる。

既に酒盛りを始めているおじさんグループ。携帯でメールする人。読書する人。弁当を食べる人。船旅にはしゃぐ子供。毛布に包まって眠る人。細長く畳まれた毛布とその周辺の僅かなスペースが居場所である空間で、各々が思い思いに過ごす光景は、見ていて何だか微妙に面白い。

出航して約3時間後、船内が徐々に揺れ始める。東京湾を出て外海に出たのだ。太平洋を南南西に向け進むおが丸は、進むに連れ揺れも増して行ったが、アネロンがしっかり効いているせいなのか船酔いは全く感じない。

暫くすると「右手に伊豆七島が見えます」のアナウンスが。船は更に揺れを増していたが、カメラ片手にデッキへ出ると・・・。ゴォォー!と吹く風に、ザッバーン!と飛沫を上げ続ける波、不機嫌を通り越して怒ったような灰色の空。海の神様ご機嫌が麗しくないようで・・・。

カメラ片手に一番上のデッキに上がってみれば「ふんっ!!!」と踏ん張っていなければ立っていられない。吹き荒ぶ冷たい風。うねる鉛色の海。嗚呼ー!これが冬の太平洋かーーっ!!!と踏ん張り進行方向を見れば、船首を上下しながら、もう当に波を掻き分け進むおが丸。フと気付けば、この状況で、一番上のデッキでそんな確認してるヤツは自分しかいなかった・・・。

写真では穏やかそうだけれども、実際は時化の冬の太平洋。遠くにぼんやりと見えるのは伊豆七島のどれか。

数時間後、夕食でもと思いレストランに向かう。この頃になるとバランスを取らなければ船内を歩けないほど揺れは増していたようだった。微妙に食欲が失せ、キーマカレーを半分残す。揺れが増して来たせいなのか、午後8時にはデッキへ出る扉も閉鎖されてしまう。

午後10時消灯。身体が揺れに慣れて来たせいなのか、横になっているとゆりかごに揺られているようで心地良いとさえ思えてくるから不思議だ。夜中になると、背中の位置が一定間隔でズレては戻る、(船の傾きが大きくなっている)と言った状態が続くくらい船は揺れていたようで、(縦揺れ×横揺れ状態)どこからともなく何気に苦しげな「リバース音」が聴こえるて来る・・・。

上下左右に揺れながらも、おが丸は時化の太平洋を南南西に向けて進んで行く。「揺れる度父島に近付いてるって事さね」と思いながら、私はこっそりと伸びをしながら大きな揺りかごに揺られるのだった。