ラサの空、山、そこで出会った人たちを思い出し涙

MALENA2008-03-16

昨年の冬の頃に観たドキュメンタリー番組。
老婆は”すっからかん”になった棚を見つめながらこう言った「仏様・・・ずっと昔からここにあったのに・・・仏様・・・」と。そこはチベットのとある村だった。

青海チベット鉄道が開通すると、チベットで金儲けをしようとする中国人がやって来て、半ば強引に仏像やタンカや古道具などをチベットの人々から買い叩いているらしい。そして中国人は、「金になるから」と観光客相手に仏事を有料で見学させる、と言う事を思い付く。チベットの人々の信仰心を、お金儲けの為なら平気で踏み躙るヤツら。なんて「あさましくて卑しい」心の持ち主なんだ・・・。

テレビを見ていると「西蔵暴動」の文字が飛び込んで来た。
どれだけの人が中国政府の武力弾圧の犠牲になってしまったのだろう・・・と心が痛むと同時に、暴動は起こるべくして起こってしまったに違いない・・・と言う思いが・・・。

中国政府は暴動での死者は10名と発表しているようだが、毒餃子の事だってきちんと調べもしない国が、真実を発表しているとは到底思えず。今更だけれども、本当に北京オリンピックなんか開催していいのか・・・!?

昔、天安門事件で抗議行動する学生を政府が武力弾圧する光景を見て「なんて恐ろしい事をするんだ・・・」と思った。北京がオリンピック開催地に決定した背景には、「人権問題についてもっと考えて欲しい」と言う意向もあったんじゃないかと思う。でも、多くの中国人は「人権」じゃなくて「五輪バブル」の事ばかり考えているような気がしてならないんだよね・・・。個人的意見だけど、北京オリンピックは色々な意味でも時期尚早だったんだよ。いっそ、開催されなきゃいいのに。

チベットでの暴動の報道を見ていたら、ラサで見た空や山、ポタラ宮のトイレで並んで用を足したお婆さんの笑顔、ヤク飼いのお婆さんの手が温かかった事や、チベットの人たちのはにかんだ素朴な笑顔を思い出した。そして、どっと涙が溢れた。

武力弾圧によって、これ以上チベットの人々の血が流されるような事は、絶対に何があってもあってはならない。チベットの夜明けや夕暮れが、本来のチベット時間で迎えられる日が、いつの日かきっとやって来る事を信じたい。