宵闇、雨音、波音。父島の夜明け
父島で迎える最後の朝は、雨粒が木々の葉を叩く音と、波が絶え間なく打ち寄せる音と共にやって来た。
午前5時半。未だどっぷりと宵闇に包まれた空の下、私は大村海岸に向かってフラフラと歩いていた。どことなく湿度を帯びた空気が漂うせいなのか、起きぬけのせいなのか、頭が猛烈にぼーっとしている。
程なくして大村海岸に到着。暗闇と波の音。砂浜にぼーっと立っていたら、湿度を帯びた空気が大きな雨粒を運んで来たので、仕方なくベンチに避難する事に。
雨が止む気配がないので、頭上を木で覆われたベンチにごろりと横たわりながら夜明けを待つ事に。少し冷たい風が心地良い。寝ボケ覚ましに、ちょっと歌を口ずさんでみる。都会ならアブナイ人になり兼ねないが、ここでは別段ヘンでもなさそうだし(笑)
雨音と波音と共に、宵闇に包まれていた空が少しずつ、少しずつその色を変えて行く。漆黒から群青色そして淡い灰色へと。
どんな夜にも必ず朝はやって来るし、明けない夜は無い。
どんなに長い夜でも、必ず夜明けはやって来る。