ひんやりとした夜更け、雨上がりの道

「何でそこで共産主義とか社会主義とか言うワケ?挙句の果てに革命が起こればいい、とか。今日は意味不明発言ばかりで話にならんっ!」

夜更けの居酒屋で、友人はマジで怒っていた。
冷静沈着で、頭が良くて、温厚な性格の友人を怒らせてしまったのは、紛れも無く自分だったワケです・・・。ふぅぅ・・・。

いざ転職活動をしてみると、予想以上に厳しいと感じる「年齢の壁」
その事実について「認識はしているけれども、やっぱり理解はし難い」と、往生際の悪い事を言う私に対して友人は言う「それが現実なんだから、先ずは現実を受け入れなくてどうする。現実をきちんと理解した上で対策を考えるべきだろう」と。

友人の言っている事は正論。故に「そうだよねぇ」と納得しつつも言ってしまったワケです「でも、もうさ、いっその事革命でも起きて共産主義とか社会主義にでもなればいいってさえ思える」と。「ハァ?これ迄の話の流れで何でそんな話になるんだよ・・・。オレの話何聞いてたんだよ・・・」そして冒頭の”話にならんっ!”発言に至り・・・。

そりゃそうだ・・・。友人は私に「現実と向き合え!」って言ってくれているのに、私ときたら現実逃避・・・ったく、何やってんだよ・・・(泣)

店を出て、友人と雨上がりの夜更けの道を歩く。赤信号の横断歩道をダッシュで渡る。ひんやりとした空気が心地良い。数年ぶりの涼しい夏の夜。

同じアラフォーなのに、友人は全てに於いて大人で、私は全てに於いてお子チャマなんだよな・・・。友人は人生に於ける様々な場面で、きちんと現実と向き合って来たからこそ自分の足で立っていて。だから強くて。それに引き換え私は、都合の悪い現実は見ようとしないから、足元がフラついて。だからイザと言う時に弱いのさね。

「アタシ、全ての事に於いて君にはぜぇったいに勝てねぇーーーっ!!!」
「そ〜んな事はないよ」と言う友人の口調は穏やかで優しい。

「いや、だから勝てないんだって」と心の中で呟きながら友人の手をぎゅっと握った。雨上がりの夜空は、ちょっぴり切ないような、何故かそんな気がした。