オリエンタルホテル(東方旅館)の女客〜其のニ〜

MALENA2009-03-08

扉の模様の付いた硝子をオレンジ色の灯りが染めている。
昔何処かで見たような懐かしい色。扉の向こうには懐かしい光景が広がっていて・・・いや、それとも全く”別の次元”が広がっていたりして・・・。

なーんてね。「世にも奇妙な物語」じゃないんだから(笑)

でも、さ・・・。
私、この扉を開いてから10回は「すみませーん!」って言ってるんだよね、結構大きな声で・・・。で、何の反応も無いから、ずんずん薄暗い奥に進んで「すみませーんっ!!!」って言ってる、かれこれ5回は・・・。

微かに漂うアンモニア臭。雑然としたカウンターらしきモノの上には、中国語で書かれた手紙が一通無造作にぽつんと置かれている。そんな、うらぶれたカウンターの横に一人ぽつんと立っていると、「つぅか・・・コレって、幽霊ホテルとか・・・なんちゃってぇぇぇぇーーーっ!(泣笑)」と妄想した挙句、思わず”酸っぱい顔”になる自分・・・。

酸っぱい顔のまま「すみませぇーーーーんっ!!!」と叫ぶ。
すると、「はーい」と言う返事と共に薄暗い向こう側から足音が!!!数秒後、女性が一人やって来たのだが、彼女の表情はどことなく驚いているようにも見えた。

「あの〜・・・今晩泊まりたいんですけど、部屋ありますか?」
「あ・・・ああ。五千円の部屋で良ければありますけど・・・」
「あ、じゃあ、お願いします・・・」
「案内するからちょっと待っててね」

嗚呼・・・良かった・・・オリエンタルホテル(東方旅館)に泊まれるぞ!!!

女性はどうやら女将さんらしい。明るくてチャキチャキしていて、何だかとても感じの良い人だ。

年季の入った階段を上り二階へ。二階はトイレが共同らしいので、二階の部屋はアウトバス&トイレなのだろう。五千円の部屋は三階にあるとの事で、二階から薄暗くて急勾配の狭い階段を上る、いや登る。

薄暗い廊下を進んだ先に五千円の部屋はあった。
扉を開けると、そこは”まさに”オリエンタルホテル(東方旅館)の部屋だった。